校内写生大会

校内写生大会

小学生の頃、春や秋になると図工の時間はもちろんだが、校内写生大会の催しなど外に出て絵を描く機会が多かった。

特に今頃の季節は暑さも和らぎ、天気も安定してくる。また何よりも空気が澄んでいて遠くまで見通せるので、校外での写生はなかなか気持ちよいものである。

当時は一歩校外に出ると見渡す限りの田園風景の中にポツンポツンと民家や牛小屋、養鶏場といったものが点在しているような風景であった。だから見方によっては退屈な風景でもあったのだが、それでも子どもたちにしてみたらいつもの教室を飛び出して青空の下で自由に絵を描けるということは、それだけで嬉しかったものである。

絵を描くというよりは半分ピクニック感覚で楽しんでいたのかもしれない。

だから、出来栄えなどはそれほど気にしていなかった。

外で絵の具を使うと、絵の具の乾きも早い。小川に水を汲みに行っては冷たくなりかけている水に手を入れ、冬の到来も予感したものである。

たまに先生が見回りでやってくる。その時だけは真面目に描いているふりをしてやり過ごす。先生が遠くに去って行ったのを確認して、また友達同士でぺちゃくちゃと話をしたりふざけあったりする。

そんなやり取りこそが、写生大会の醍醐味である。大人になった今ではこういったイベント自体に参加する機会がないし、そもそも同じような趣味で集う仲間も近くにいない。まあ、それはそれで仕方ないのだが、たまには外に出ないと重い腰がますます重くなりそうである。