日向ぼっこ

冬も深まると大人も子供も日向が恋しくなる。
子供達の間では「ひなたぼっこ」といって、数人集まると家と家の間から漏れるちょっとした日向の部分を探しては、お互いに身を寄せ合ってひそひそ話したものだ。とくに西陽の当たっている民家の土壁を背に立つと、余計に暖かく感じたものだ。きっと土の壁自体が昼間の太陽の熱を吸収し、余熱となって残っていたからなのかもしれない。もちろん寒い日は家の中で過ごすこともあったのだが、当時は子供は外で遊ぶものだということを大人達からよく聞かされて育ったから、北風が吹いても雪が舞っても、僕達は基本的に外で遊んでいた。
それでも寒いものは寒い。だから普段の遊び場の中からどこが暖かい場所であるか知っていて、寒い日は自然と皆がその場所に集まってくるものだから、いつも以上に賑やかになった。
とにかく日向は家を追い出された子供達のちょっとした憩いの場でもあったのだ。