ウルシ(漆)の樹
の木.jpg)
子供の頃はたくましかった。
山でも川でも雑木林でも、道なき道を切り拓いてはどんどん遊び場を開拓していったものである。
マムシがいようとスズメバチがいようとお構いなしであった。
もちろんわざとそういった有害な生物の場所へ近づくわけではない。むしろそういった場所は事前に情報を得ていて、近づかないように避けて進んでいくのだ。それだけフィールドを熟知していたのである。
それでも、多少のケガをしたり虫などに刺されたりといったこともあった。また、虫刺され以外では、何かに触って皮膚がかぶれることもよくあった。
だいたい家に帰ってきてから、かゆみや腫れで気が付くのだが、母や父に訊くと物知り博士のように原因を教えてくれた。
そのほとんどの原因が、漆(うるし)によるものであった。
当時漆(うるし)はあちこちに群生していて、登下校の途中の雑木林でも数多く生い茂っていて、決して珍しい植物ではなかった。むしろ僕らの中では雑草と同じくらいのよくある植物であった。
その漆の木に触るとたちまち発疹が出たり赤くなったりしてかゆみが出るので、僕の友達でもよくかぶれている子がいた。
注意はしていても、やはり無意識に触れてかぶれてしまうのだ。
なぜならば、この漆とよく似た雑草があちこちに生えているのである。よく見れば見分けがついても、子供だから勢いで草木をかき分けて雑木林に入ってしまう。だから安全だと思って触った葉っぱが漆の葉っぱだったということはよくあった。
とくに、僕の場合はイタドリの木との見分けができなかった。もちろん今は見分けがつく。だいたいイタドリと漆は全く似ていないし、どうして間違うのか不思議なくらいである。しかし当時の僕にはその違いがいまいち理解できていなかったのだ。
だから、よく間違って触ってしまうことが多かった。
今でも地方に行くと漆はよく見かける。当時はこの木が漆器の塗り物の染料になるなんて思ってもみなかったが、漆の樹液を加工して塗り物にするという発想はどこから出てきたのだろう!?凡人の私にはおおよそ理解できるはずがない(笑