科学と学習

科学と学習

僕等が小学生の頃は、「科学」と「学習」なる教育雑誌があった。多分昭和生まれの人はほとんどが知っているのではないだろうか。

僕の小学生時代は、同級生のほとんどが、「科学」または「学習」のどちらかの雑誌を定期購読していたと思う。記憶によると当時は学校の先生が注文して児童に販売していたような気がする。つまり、学校が委託販売みたいな形で推薦雑誌として児童に購読を進めていたということになる。あくまでも記憶なので、もしかしたら僕の勘違いなのかもしれないが。

ところで、この科学と学習はどちらかというと科学の方が人気があった。その魅力は付録である実験道具の数々にあった。日光写真から始まり、ヤジロベエや望遠鏡など好奇心を煽るようなものが毎号付録として付いてきた。一方学習の方はというと、難しい漢字の読み方一覧とか地名一覧とか、授業の延長線上にあるような付録ばかりで、まるで宿題でもやらされている感があって、どうしても科学と比べると魅力的には映らなかったように思う。

僕の家はそれ以前に、雑誌の定期購読自体が不要とされ買ってもらうことができなかったが、あまりに僕がしつこく懇願するので、たしか3年生の頃だと思ったが1年間だけ定期購読してもらえることになった。

しかし条件があった。それは科学ではなく学習を購読することであった。

当然僕は科学を購読できるものとばかり思っていたので、大きく目算が外れたわけだ。それでも購読できないよりはマシということで、仕方なく学習を定期購読することになったのだが。しかし周りの友達はほとんどが科学を購読していたので、羨ましくて仕方なかった。結局学習を定期購読したが、そもそもが付録狙いのための購読だったので、肝心の雑誌をあまり読むことなく、部屋の片隅に積まれていっただけであった。

小学生の高学年になる頃には、科学と学習自体も周りであまり話題になることもなくなっていた。

大人になった今も、もし定期購読できるなら今度こそ科学を購読しようと思う。