音楽室

学校の音楽室は校舎の西端にあり、神社が隣接していたので杉の木立の陰になって夏場でも涼しいくらいだった。当然冬場は陽が当たらないため、かなり寒く感じた。
僕らの小学生時代はエアコンなどなく、ストーブで暖をとるしかなかった。
しかし、音楽室はオルガンが机であり、逆に言うと机(生徒)の数だけオルガンが設置されていたので、オルガンのスペースだけで音楽室はストーブなど置くスペースがなかったのである。
だから当然冬場の音楽室は凍えるくらい寒かった。
ある日、先生も僕らが寒さで震えているのを見かねてか、「今日は寒いからいつもの教室で授業やりましょう」と、音楽室には移動しないでいつもの教室で音楽の授業をやったものだ。
しかし、寒いイメージしかない音楽室ではあったが、夏場は逆に涼しくて快適でもあった。また西端に位置している関係上とても静かであった。だから僕らは夏場はマンガ本など持ち寄って音楽室で読んだりしたものである。音楽室の壁一面には有名な音楽家の肖像画がたくさん貼ってあり、マンガ本を読むには視線を感じるので、オルガンの陰に隠れながら読んだことが懐かしく感じる。