新聞広告の裏

物心ついた頃から、よく絵を描いていた。
描ける場所さえあればどこにでも描いていた。校庭や道路、工事現場の防音壁などスペースさえあれば描いていた。時には叱られたこともあった。しかし、懲りなかった。
家にいるとよく新聞広告が大量に入ってきた。近所のスーパーの大売出しや車の広告などである。当時は両面刷りの広告よりも片面刷りの広告の方が多かったように思う。僕は片面刷り広告を親に言って捨てずに保管しておいてもらい、暇な時なよく広告紙の裏面にフェルトペンやクレヨンで絵を描いていた。何を描いていたかは覚えていない。覚えていないくらいだから、マンガの模写とか空想の生き物とかいったたわいもないものだろう。
しかし、そんなたわいもない絵だが、一度だけ褒められたことがある。今となっては絵の内容は思い出せないが、たしかすごい上手だねと親戚一同から褒められたのである。それをきっかけに益々広告マンガを量産したのは言うまでもない。この時に描いた絵が今でも気になって仕方ないのである。