図鑑

小学校に入学を機に両親が図鑑を買ってくれた。全15巻くらいの図鑑だったと思う。内容は、一般的によくある図鑑の内容であり、世界の植物や動物、昆虫などが各巻ごとに紹介されていた。
僕が一番興味を持っていたのは魚であり、魚の巻ばかり見るのでその巻だけが手垢や折り目でひときわ汚れていた。
その魚の巻の中でもサメがお気に入りであり、サメの種類は丸暗記していた。「恐い=興味」という心理的な部分で、人食いザメに異様な興味を示していたと思う。どのサメが凶暴であるとか強そうであるとか、とにかくサメはお気に入りであった。
他に興味があったものでいうと、昆虫も好きであった。小学生の男の子であれば当然カブトムシやクワガタなどに興味を持つので、こちらも世界中のカブトムシなど丸暗記である。
そんなわけで、雨で外に出られない日などは友達を呼んでは皆で図鑑を開いて見せあったり、また図鑑の写真を真似して絵を描いたりしていた。
ところで僕の図鑑のタイトルは今となっては忘れてしまっているが、友達の持っていた図鑑は不思議と覚えている。
一番覚えている図鑑が「チャイクロ」である。たしか今でもあると思ったが。
なぜチャイクロを覚えていたかというと、チャイクロの色使いと挿絵のイラストに特徴があったからである。文章ではどう表現したら良いのかわからないが、とにかくイラストと色使いが他の図鑑にはない斬新なものに感じていたのである。その中でもイラストで描かれている色とりどりの「ネズミ」は今でも覚えているくらいである。子供の記憶は本当に不思議である。大人の視点と明らかに違うのが面白い。