野草を摘んだ思い出

野草を摘んだ思い出

祖母は野草を摘んではいろいろ作ってくれた。ヨモギで草餅とか土筆で煮浸しとか美味しかった思い出がある。

近所には田畑や野原があり、幸い野草に困ることのない環境なので、よく祖母に手を引かれ野草を摘みに出掛けたものだ。

印象に残っている野草はというと、野蒜にフキ、ヘビイチゴだ。当時はどうやって食べるのかも知らなかったが、とにかく野草を見つけては摘むことが楽しかった。

特にヘビイチゴは毒々しい色に名前が蛇だから、きっと毒薬の材料に使うもので食べたら死ぬと思い込んでいた。だから見つけても摘むのは祖母に押し付けていた。

その後、たしかヘビイチゴは食べるのではなく、白酒か焼酎に漬けこんで、漢方薬のような使い方をするようなことを聞いた。

昔の人は身近な野草までも何かしら工夫して日々の生活に取り入れていたものだと感心する次第である。今では、こういったことを知っている人も少ないのではないだろうか。そもそも野草に感心を示すことすら失った自分がいる。